「今年こそぼくのおごりで皆さんに盛大にパーティーをさせてあげたい!!」 ・・・あいかわらずトボけたことを書くもんだ。年賀状をみて笑ってしまった。
S川くんは学生時代の友人。今は出身の石川県に居る。 町おこし(?)かなんかで「UFOの町」となっている(はず)の羽咋市。
彼は学年は同じだったが、サークルには1年遅れで(つまり2年生から)入ってきたので 私のことを「ひゅうがさん」と呼んだ。 私は彼のことを「S川さん」と呼んだ。
家(下宿)が近かった。歩いて2,3分程度。よく遊びにいった。 彼は基本的に寡黙で、自分からあまりペラペラしゃべるタイプではなかった。 でも、たまにしゃべる言葉は常におとぼけで面白かった。
彼の家で、自分もちょっとだけ読んだ「現代思想入門」みたいな本をみつけ、 「あ、これウチにもある。デリダってなんなの?読んでもよくわからないんだけど」 と聞くと、「ぼくもあまり知らないんですけど」という前置きでなかなかの解釈を 語ってくれた。 なかなかのインテリだった。
また、ある日の夕方、NHKの歌番組で見たこともないアイドル歌手が出てきて 「誰じゃい?こりゃ。見たこともない」というと 「○○ △子です」 と、見事に言い当てた。 なかなかのオタクだった。
はたまた、S川くんがふっくらしてきたので食事の話になり、彼が朝食は食パンを 食べていることまでつきとめた。 「S川さん、朝食でパンどのぐらい食うの?」 ・・・"6枚切り?枚" とか "8枚切り?枚" とかのオーダーのつもりだったが、
「いっきん」
と答えた。朝から食パンをキューブで食うヤツは後にも先にもヤツだけだ。
S川さんが、学校を卒業して地元に帰るとのことを聞いて、下宿を引き払う直前に 自分ひとりで遊びに行った。じゃあ、お別れパーティやろう、と。
でかい鍋におでんがいっぱい入っていた。 自分で作ったのか?それまで遊びに行ってもそんなパターンは無かったので、 「なにこれ?どしたの?」 と聞いたら 「セブンイレブンで買ってきました」
セブンイレブンは確かに近くにあった。が、あんなデカイ鍋をいっぱいにするには かなり買い込んだに違いない。
自分はいまでもそうだが、酒を飲むとあまり食べられない。 結局たくさん残してしまった。
「ごめん、せっかくのおでんだけど食べられないや」 「いいですよいいですよ。気にしないでください」 そんな会話をして帰った。
「まあ、あまり会うことも出来なくなるだろうから、最後にちょいと寄るよ」 なんて、気軽に言った自分を、セブンイレブンおでんでもてなしてくれた気持ちがありがたい。
「そのうちUFOの町に遊びに行くからね」なんて言いながら一度も行ったことがない。 いまや年賀状でやり取りするだけだ。
しかし、なぜか近い気がしてしまう。 お世辞にも、きれいとはいえない字で、とぼけたこと書かれると嬉しくなってしまう。
**************************** そういえば、5年ぐらい前か? 自分のライブのビデオを送ったことがある。 「今でも音楽やってるよ。ビデオ送るから良かったらみてね」
返事がきた。 「ビデオありがとう。でも自分のうちにはビデオデッキが無いのでビックリしました。」
・・・今どきビデオも見れないなんて、こっちがビックリするわ! | |